【大久保メモ】顧客は変わった。売場は変わったか

前回のAI流通革命3.0研究会では、「顧客理解の総括」をテーマに議論を行いました。

その中で浮かび上がったのは、簡便ニーズへの対応という論点です。

売上が伸びないとき、多くの企業は価格や競争環境に目を向けがちです。しかし今回の講演では、より本質的な問いが提示されました。

それは、「お客様の生活そのものが変わっているのに、売場は変わっているのか」という問いです。

女性の就業率上昇や単身・少人数世帯の増加によって、生活者の時間の使い方は大きく変化しています。買い物の頻度を減らしたい、調理時間を短縮したい、多少高くても便利な商品を選びたいというニーズは、今後も強まっていくと考えられます。

一方で、多くの食品スーパーは、生鮮素材を購入し家庭で調理するという従来型の生活モデルを前提に売場を構成しています。

もちろん生鮮の価値がなくなるわけではありません。しかし、素材を売るだけでは成長が難しくなる市場が増えていることも事実です。

講演では、惣菜、サラダ、冷凍食品、調理キットなど、即食・簡便ニーズへの対応が重要なテーマとして語られました。

特に注目すべきなのは、生鮮売場そのものにも変化が求められているという点です。

農産であればカット野菜やサラダ、畜産であれば味付け商品や調理済み商品、水産であれば焼き魚や寿司など、生鮮を素材として販売するだけでなく、食べる直前まで価値を高める発想が必要になっているのかもしれません。

意見交換会でも、「販売点数が落ちる中で何をKPIとして追うべきか」「業務効率化が進んでも現場が楽にならない理由は何か」といったテーマへの関心が高く集まりました。

これらは一見別の問題に見えますが、背景には共通する課題があります。

それは、企業側の都合ではなく、変化した顧客ニーズを起点に考えられているかということです。

売場、商品開発、販促、作業設計。そのすべてが過去の成功体験を前提に組み立てられているとすれば、効率化を進めても成果につながりにくいかもしれません。

今回の講演で示されたのは、顧客理解とは単なるアンケート分析や属性分析ではなく、生活者の変化を起点に事業全体を見直すことだという視点でした。

便利さを求める顧客は増えています。

しかし、その便利さをどのような商品で提供するのか、どのような売場で伝えるのか、そしてどのような利益構造で実現するのか。その答えは企業ごとに異なります。

だからこそ今問われているのは、「自社の売場は、今のお客様の生活に本当に対応できているのか」という問いではないでしょうか。

このテーマは先日のAI流通革命3.0研究会でも議論しました。開催報告では、「顧客理解の総括」をテーマにした講演内容や参加企業との意見交換の概要をご紹介しています。

※本記事は大久保恒夫氏の講演内容をもとに研究会事務局が作成したものです(文責:研究会事務局)

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5/13 AI流通革命3.0研究会開催報告

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