【新年のご挨拶と大久保コラム】AI、ビッグデータで流通構造はどう変わるのか

みなさま、新年、あけましておめでとうございます。
旧年中は格別なご高配を賜り、まことにありがとうございました。
これからも、みなさまのご要望にお応えし、ご満足いく情報をご提供できますよう努めて参ります。
2024年も、みなさまにとって素晴らしい1年でありますようお祈り申し上げます。
本日は、大久保の著作本からコラムをお届けします。

【大久保コラム】流通全体が一体化し価値を創造する


今後、流通が横にも縦にも融合し、大きく変革していくと考えられる。
物不足の時代には、生産者と販売者が別々に、大量生産、大量販売した方が効率が良かったし、業態別にお客様のニーズに対応していた方が、都合がよかった。

お客様中心の流通構造の時代には、まずお客様と接した企業が、お客様のニーズ、不満を見つけ、それに合わせて、何をどこで作り、どうやって売ったらいいかを考え、実行し、修正していきながら、お客様に満足いただく価値を創造していくことになる。

店舗小売業は、お客様に接客することを通じて行動を知り、ニーズを知る、お客様と小売業との接点でもある。この接点としての機能が、これから非常に重要になる。店舗というお客様とのこの接点を生かして、さまざまなデータを入手することができる。そして、そのデータをAIに読み込ませて仮説を立て、商品開発を行い、できた商品を店頭で販売して検証する。大量のデータを分析することで、お客様の新しいニーズを発掘することができる。そのニーズに基づき、今までにない新しい業態や商品を開発する。

小売業が主体となり本格的な商品開発をすることによって、小売業はさらに付加価値を高めることになる。小売企業の中での店舗の位置づけも変わっていくだろう。これからは店舗と商品部が一体となって商品開発を行うことになる。店舗が集めたデータを商品部がAIで分析し、仮説を立て、検証を行い、お客様の新しいニーズに沿った商品を開発する。

小売業が店舗を持ち、商品を並べていれば価値を提供できた時代は終わった。小売業が、お客様のニーズを把握し、生産段階にまで踏み込み、どこで何を作り、どう物流、在庫すればいいかを考え、実行する時代になっていく。小売業の役割、店舗の役割が変わり、お客様にとってどんな価値が創造できるかを考え、実行しなければ、売上も利益も上がらない時代になっていくのである。

大久保恒夫著『AI流通革命3.0』(ビジネス社)より