12/13「ネットスーパーアプリの進化」ウェビナー開催報告

みなさま、こんにちは。先日開催しましたネットスーパー実行研究会ウェビナー「ネットスーパーアプリの進化」についてご報告させていただきます。

最初に「今日の研究会のポイント」について株式会社リテイルサイエンスファウンダー大久保恒夫よりお話をさせていただきました。

続いて、「ネットスーパーアプリによる購買体験進化の可能性」と題し、株式会社エブリー 執行役員 データソリューション本部長 鵜飼勇人様にお話いただきました。主要サービスである「DELISH KITCHEN」の利用者層は、8割が女性で、ファミリー、共働き層が多いことが分かり、スーパーマーケットの主要な利用者層と合致することを再認識しました。エブリー社は、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化をコンセプトに、小売業の課題解決に向け幅広く包括的にソリューション提供する「retail HUB」を展開しています。顧客情報を、「認知段階」「来店段階」「POS情報」から取り統合することで、より高い精度でパーソナライズ訴求できることが分かりました。エブリー社は、月間総利用者数5,600万の巨大メディアを所有しており、認知段階で、スーパーマーケット主要利用者層にアプローチ出来る点が非常に印象的でした。アプリケーションやID-POSの包括的な戦略を立案するに当たり、コンセプトが明確で、かつスーパーマーケット利用者層への訴求力の高い企業と組むメリットを感じられました。

休憩を挟んで、「最新ネットスーパートレンド」と題し、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集長の阿部幸治様にお話しいただきました。「トライアル×Wolt drive」、「アオキ×オニゴー」、「デリシア×10x」等、スーパーマーケット企業とアプリ企業の連携事例が、各々の戦略とアプリの特長が見られ、非常に参考になりました。また、コロナ後のネットスーパーの利用動向について、西友のみが利用率を維持向上しており、アプリの「利用のしやすさ」が、利用者数に直接的に繋がっていることが分かりました。マルエツのネットスーパーの歴史では、社会的背景と、都度の方針戦略の変遷が分かり、これからネットスーパーを始める企業の参考になるのではと感じました。

続いて、「ヨーロッパのネットスーパー最新事情(14)~マーク&スペンサーの食品・非食品EC~」と題し、リテイルライター太田美和子様よりお話しいただきました。英国内で1500万ダウンロード(購買層では人口の4分の1に当たる)を達成したマーク&スペンサーが発表した、「How we’re turbocharging online growth」(https://corporate.marksandspencer.com/how-were-turbocharging-online-growth-seven-key-changes-mscom-over-past-year)から、同社の国内衣料&ホームEC 成長7 つのカギをご紹介いただきました。「1.アプリがすべて、2.ウェブサイトのフロントページ、3.魅力的なコンテンツ、4.注文可能な商品を増やす、5.支払い方法を増やす、6.クリック&コレクトの効率化、7.テクノロジー投資」は、ネットスーパーやECサイト、アプリを設計する上で、全ての小売企業に当てはめることが可能です。既にアプリを導入している企業は、この7つのカギを指標に、より良いブラッシュアップが出来るのではと思います。

そして、「米国食品小売業界の最前線レポート」と題し、リテールストラテジスト平山幸江様よりお話しいただきました。マンハッタンに日系の高級鮮魚専門店が出店、アジア系スーパー拡大等、米国内でのアジア系食料品のニーズの高まりが感じられました。また、米国では、セルフレジの是非について議論されており、ネットスーパーやECのフルフィルメント人材の増加も相まって店舗人員は増加傾向にあることや、万引きやシステム上の不具合による訴訟事例など、アメリカならではの背景が興味深かったです。また、地元青果の入荷を知らせるアプリのテストが行われ、購買向上の成果が得られたという報告が、今後のアプリ開発のヒントになるのではと感じました。

その後、「ネットスーパーアプリの進化の総括」と題して、大久保よりお話をさせていただきました。アプリの画面でも、店舗と同じように優位置、劣位置があり、画角は売場、見やすさは使いやすさ、好感度は「あのアプリは感じが良い」という顧客の心理に強く影響することをお話しました。ネットスーパーで粗利構成比を上げるためには、生鮮品の購買を上げる必要がありますが、月2-3回の利用では生鮮品購買は低く、週2-3回の利用を促す必要があるため、利用頻度を上げるような設計が必要です。また、アプリに、店舗でのお買い物と同じような、楽しさやエンタメ性を持たせ、たくさんアプリを触ってもらうことも重要です。スーパーマーケット業でのOMO(Online Merges with Offline:オンラインとオフラインを併合する)戦略では、ネットスーパーの構成比を今後さらに上げていくことが必要であり、それと同時にアプリ開発も非常に重要であることを再認識しました。

最後に、お知らせをして閉会とさせていただきました。

次回もまた皆様にお会いできますことを楽しみにしております。

ご参加いただき、ありがとうございました。