2/21ネットスーパー実行研究会開催報告

みなさま、こんにちは。先日開催しましたネットスーパー実行研究会ウェビナーについてご報告させていただきます。

最初に「今日の研究会のポイント」について株式会社リテイルサイエンスファウンダー大久保恒夫よりお話をさせていただきました。

続いて、「ネットスーパーの市場概況」と題し、株式会社10X 事業開発本部 事業開発本部長 赤木 努様にお話いただきました。ネットスーパー事業は過去20年間に多くの失敗がありましたが、EC利用率の成長とスマートフォンでの購入がPCでの購入を上回るというエポックメイクにより、拡大期に入っています。市場規模は約2,800億円であり、トップ3の小売業者はセンター出荷型ネットスーパーに注力している一方で、小売業者にとってネットスーパーの位置付けは様々であり、成長する企業もあれば利益が見込めない企業もあるのが現状です。ネットスーパー事業の成長の要諦は、カゴあたりエコノミクスを黒字化することであり、カゴ単価の上昇、オペレーション生産性の最大化、需給マッチングを最適化し、店舗オペレーションと配送のユニットエコノミクスが黒字化すれば、事業の成長に繋がる可能性が具体的な事例とともに紹介されました。


休憩を挟んで、「最新ネットスーパートレンド」と題し、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア編集長の阿部幸治様にお話しいただきました。20代と60代のネットスーパー利用が増加し、特に20代が増加していますが、30代から50代の利用には課題が残るとの指摘もありました。また、楽天が西友を完全子会社化し、サービス名変更を計画しており、一方で西友は店舗型ネットスーパーに注力し、利用率の向上と黒字化に成功していることが挙げられました。イオンの「グリーンビーンズ」は半年で会員数10万人を突破し、都心マーケットでのシェア拡大を目指しています。特に20代〜30代の若いファミリー層をターゲットに、高い生産性と顧客体験の向上を図っています。ネットスーパー市場は競争が激化し、利用者の多様化が進んでいます。特に20代の取り込みが重要であり、顧客体験の向上と送料許容度の調整が今後の課題となると示されました。

続いて、「ヨーロッパのネットスーパー最新事情(15)~注目企業の現状と今後~」と題し、リテイルライター太田美和子様よりお話しいただきました。2022年のヨーロッパの食品EC市場は、各国で成長し、ポルトガルやオランダなど一部地域では100%以上の成長率が見られました。オンラインとオフラインの独立したチャネルとしての位置付けが進み、専業企業も黒字化を達成。テスコは新サービス導入やデジタルリテール戦略の強化で成長を維持し、新興企業ではPicnicやRohlikが注目されています。一方、オカドのリテール事業は苦戦が続いていますが、アクティブ顧客数は増加しており、新サービスやマークス&スペンサーの商品導入などで改善を図るなど、ヨーロッパ各社の現状をご紹介いただきました。

そして、「米国食品小売業界の最前線レポート」と題し、リテールストラテジスト平山幸江様よりお話しいただきました。米国の消費者物価指数全カテゴリーは3.1%上昇し、家庭での食費は1.2%下降、ミシガン大学消費者信頼感指数は79.0で、9ポイント上昇しました。さらに、Eコマースは対前年25%以上成長し、ヘルス・パーソナルケアも高い成長が続いています。ダラーゼネラルはAIを活用して青果部門を強化し、食品廃棄率を削減、ゲルソンズスーパーマーケットは価格とプロモーションを最適化するためにAIソリューションを導入し、従業員業務効率の向上を図っています。アマゾンはRFID技術を使用したJWOシステム店舗を展開し、レジレス店舗の進化に取り組むなど、各社の先進事例が紹介されました。


その後、大久保より総括をさせていただきました。ネットスーパーの事業化に取り組む際にまず重要なのは、全社の経営戦略の中で、どうネットスーパー事業を入れていくかです。続いて、システム開発、データ活用、商品開発、お客様獲得となりますが、ネットスーパー事業は、コンビニニーズ(便利・時短)を常に念頭に設計していく必要があります。商品開発では、リアル店舗と同じ商品を同じように売るのではなく、忙しい、短時間で済ませたいというネットスーパーユーザーならではのニーズを念頭に、商品を強化していく必要があります。販促においては、クーポンのばらまきは効果が無い事も実証されています。データ活用においては、リテンション(継続率)が重要であり、あらゆる角度からデータ分析ができることもネットスーパーならではの利点である事をお伝えしました。最後に、ネットスーパーは、リアル店舗よりも粗利率が必ず高くなるようにする必要がある事を強くお伝えし、具体的な強化ポイントをお話しました。

最後に、資料ダウンロード用アンケートについてのご案内をし、閉会とさせていただきました。

次回もまた皆様にお会いできますことを楽しみにしております。

ご参加いただき、ありがとうございました。