皆様、こんにちは。10月16日に開催されたネットスーパー実行研究会ウェビナーについてご報告いたします。
まず、株式会社リテイルサイエンスのファウンダー大久保が「今日の研究会のポイント」をお話しました。
続いて、日本店舗開発支援機構の代表、折戸功様より「生活協同組合(生協)の現状と取り組み」について、お話いただきました。生協の宅配事業が持続的な成長を続けている状況について、最新の詳細な数値を元に、具体的にご説明くださいました。特に共働き世帯や高齢者世帯に支持されている週1回のカタログおよびネット注文による宅配システムを強みとされていました。折戸氏は、生協が「くらし全体の向上」を目指し、地域社会に密着したサービスを提供している点を強調され、エシカル消費に対応した商品開発も進んでおり、環境や社会に配慮した商品が増加している事に触れられました。これにより、生協は持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めており、消費者からの信頼をさらに高めていることが分かりました。一方で、組合員の高齢化や若年層の加入の鈍化が課題とされており、チラシ販促のデジタル化や、AIを活用した注文予測やレシピ提案を通じた新しい施策が今後の成長に重要な役割を果たすと述べられました。折戸氏は、今後の生協の展望として、主軸の宅配事業の、「ラストワンマイル」における生産性向上を目指し、AIを活用した物流の最適化や業務効率化により、消費者に対するサービスの質を向上させ、引き続き地域社会に貢献しながら、持続可能な事業モデルを追求していく事だと述べられました。折戸氏はさらに、生協のモデルが他の小売業者にも示唆を与え、顧客に密着した柔軟なサービスの提供が小売業全体において重要であると述べました。
休憩後、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディアの編集長、阿部幸治様より、「最新ネットスーパートレンド」についてお話いただきました。阿部様は、イトーヨーカドーが2025年2月をもってネットスーパー事業から撤退することが業界に与える影響を解説しました。この市場変化を受け、競合他社がどのように対応するかが今後の注目点であり、特にイオンや西友、生協が市場シェアをどのように拡大していくかが焦点となっています。
続いて、RTK-Designの片山隆様が「ネットスーパーのパイオニア 英国テスコドットコム」について講演を行いました。テスコは、日本よりも40年ほど早いとされる、共働き世帯や若い世代のライフスタイルの変化に迅速に対応してきた歴史を挙げられました。現在では、英国全土で99.8%のカバレッジを持つネットスーパー事業を展開しています。この成功の背後には、テクノロジーを駆使した効率的なオペレーションと、消費者ニーズに応じた柔軟なサービス提供があると、詳細な分析とともにご紹介くださいました。
次に、リテールストラテジストの平山幸江様より、「米国食品小売業界の最前線レポート」についてお話いただきました。米国ではインフレの影響により、依然として低価格志向が続いている一方で、ホールフーズやサムズクラブのレジレス店舗や小型店舗が注目されていることを紹介し、米国市場がどのようにしてデジタル化と効率化を進めているかを解説くださいました。
最後に、大久保が「ネットスーパー実行研究会の総括」を行い、今回の研究会で得られた知見をまとめました。特に、生協の宅配モデルが持つ強みや、共働き世帯や高齢者世帯への対応力が、今後のネットスーパー事業の成長に大きく寄与することを強調しました。
今回の研究会では、ネットスーパー業界の最新動向や、今後の成長戦略について多くの知見が共有されました。次回の研究会でも、皆様と共にさらに深い議論が行われることを期待しております。ご多忙の中ご参加いただき、誠にありがとうございました。